マウスピース矯正できない4つの例を詳しく解説!

マウスピースを両手で持つ髪の長い女性

こんにちは。渋谷駅・表参道駅から徒歩5分の歯医者「渋谷青山通り歯科・矯正歯科」です。

代表的な矯正方法のひとつにマウスピース矯正があります。マウスピース矯正は、見た目を気にせず矯正治療ができる人気の治療方法ですが、マウスピース矯正は全ての歯並びを治療できるわけではありません。

今回は、マウスピース矯正が適応できない症例を解説します。

マウスピース矯正のメリット・デメリット

MERITと書かれた札とDEMERITと書かれた札

ほかの矯正治療と同様に、マウスピース矯正にもメリット・デメリットがあります。

メリット

マウスピース矯正のメリットは、以下のとおりです。

審美性に優れている

透明なマウスピースを使用するため、矯正していることが目立ちません。人前で話すことが多いなど、人目が気になる場合は取り外すことも可能です。

トラブルが少ない

ワイヤー矯正では、矯正装置が外れたり装置が擦れて口腔粘膜に傷をつけたりする場合があります。

マウスピース矯正は、透明な薄いマウスピースを使用するので、口内に傷ができるなどのトラブルが比較的少ないです。

取り外せる

マウスピースは自由に取り外すことができます。食事や歯磨きの際に外すことができるため、日常生活のストレスが少なく、スポーツや公の場で話すときに外せることはメリットといえるでしょう。

金属アレルギーの人も利用できる

マウスピースには金属が含まれていないため、金属アレルギーの人でも矯正治療を受けることができます。

痛みが少ない

マウスピース矯正では歯に加わる力が弱いため、ワイヤー矯正よりも痛みが少ない傾向があります。

デメリット

マウスピース矯正のデメリットは、以下のとおりです。

自己管理が必要になる

マウスピース矯正の効果を得るには、マウスピースを1日20〜22時間装着する必要があります。矯正効果は装着時間に比例するため、自己管理が非常に重要です。

また、マウスピースの清潔を保つために、日々の洗浄も必要です。

対応できない症例がある

マウスピース矯正は歯を大きく動かすことが難しいため、極度に悪い歯並びや顎の骨のバランスが原因で歯並びが乱れている場合は、治療をすることができません。

奥歯の噛み合わせが悪くなる可能性がある

マウスピースは歯全体を覆うため、奥歯に一定の圧力がかかります。圧力がかかり続けると、奥歯の高さが低くなり、噛み合わせが悪くなる可能性があるでしょう。

飲食時に外す必要がある

マウスピースを装着したまま食事をすると、マウスピースが破損する可能性があります。そのため、飲食時にはマウスピースを外さなければなりません。

また、食後にマウスピースを装着する際は、歯磨きを行ってから装着する必要があります。歯に汚れが付着した状態でマウスピースを装着すると、虫歯や歯周病の原因になるためです。

マウスピース矯正できない4つの例

できるできないを表現する図

マウスピースのメリット・デメリットをご紹介しました。次に、マウスピース矯正ができない例についてご説明します。

重度の叢生

歯の重なりがある状態が叢生(そうせい)です。叢生は、乱杭歯(らんぐいば)や八重歯(やえば)ともいわれます。

叢生は、顎のサイズと歯の大きさのバランスが悪く、歯が正しく並ぶためのスペースが不足していることが原因で起こります。マウスピース矯正では、軽度の叢生であれば治療することができますが、歯を大きく動かす必要のある重度の叢生は治療することができません。

骨格的な上顎前突

上顎前突(じょうがくぜんとつ)とは、上の顎が前方に突き出た歯並びのことを指し、一般的には出っ歯とよばれます。上顎前突の状態では、前歯が前方に突き出ているため唇を完全に閉じることが難しく、口呼吸になる方が多いです。口呼吸によって口の中が乾燥し、唾液の分泌量が減少するため、虫歯のリスクが高まります。

上顎前突は、主に以下の3つのタイプにわけられます。

  1. 骨格的な問題はなく、歯だけが前に出ているタイプ
  2. 上顎の骨が大きく、上顎全体が前に突き出ているタイプ
  3. 下顎の骨が小さく、上顎が相対的に前に突き出ているタイプ

①のタイプであれば、マウスピース矯正で治療できます。②と③のタイプは、骨格的な問題があるため手術が必要です。

骨格的な下顎前突

下顎前突(かがくぜんとつ)とは、下顎が前方に突き出た歯並びのことを指し、一般的に受け口やしゃくれとよばれます。下顎前突の状態では、下の歯が上の歯よりも前に出ているため、物を噛みづらいことや、サ行などの発音が難しいことが多いです。

下顎前突は主に以下の3つのタイプにわけられます。

  1. 骨格的な問題はなく、歯だけが前に突き出ているタイプ
  2. 下顎の骨が大きく、下顎全体が前に突き出ているタイプ
  3. 上顎の骨が小さく、下顎が相対的に前に突き出ているタイプ

上顎前突と同様に、①のタイプはマウスピース矯正で治療できますが、②と③の場合は骨格的な問題があるため、外科的な手術が必要です。

インプラント

歯を動かす際には、歯の根っこの周りに存在する歯根膜(しこんまく)が重要な役割を果たします。矯正治療中に歯に力が加わると、力を加えられた側の歯根膜が圧迫され、破骨細胞(はこつさいぼう)とよばれる細胞が集まり、骨を溶かします。

一方で、力を加えられている反対側の歯根膜は伸び、骨芽細胞(こつがさいぼう)が集まることで骨が再生されるのです。骨の再生と破壊を繰り返すことで、力を加えた方向に歯が動きます。

インプラントは顎の骨に直接埋め込むため、歯根膜が存在しません。そのため、マウスピース矯正を含めたすべての矯正治療で、インプラントを動かすことはできません。

マウスピース矯正できない場合の治療法

カウンセリングしてシートに書き込む歯科衛生士

マウスピース矯正で治療できない症例の治療方法として、ワイヤー矯正、ワイヤー矯正とマウスピース矯正を組み合わせたハイブリッド矯正、外科的矯正があります。以下、それぞれの治療方法の特徴をまとめました。

ワイヤー矯正

ワイヤー矯正は、歯にブラケットとよばれる金属の矯正装置を装着し、ブラケットにワイヤーを通して力を加えて歯を動かします。マウスピース矯正と異なり、ワイヤー矯正では歯を大きく動かすことができます。そのため、マウスピース矯正では治療できない重度の叢生なども治療することが可能です。

ワイヤー矯正には、ブラケットを歯の表面に装着する表側矯正(ひょうそくきょうせい)と、歯の裏側にブラケットを装着する舌側矯正(ぜっそくきょうせい)の2種類があります。表側矯正は矯正装置が目立ちますが、比較的安価なことが特徴です。舌側矯正は矯正装置が目立ちませんが、費用が高額で滑舌に支障が出る特徴があります。

ハイブリッド矯正

ハイブリッド矯正とは、ワイヤー矯正とマウスピース矯正を組み合わせた矯正方法です。ハイブリッド矯正では、まず歯を大きく動かす必要のある部位をワイヤー矯正で治療します。そのあと、マウスピース矯正に切り替えて細かな歯並びを改善します。

外科的矯正

骨格的な問題で起こる受け口や出っ歯は、ワイヤー矯正やハイブリッド矯正で治療することができません。骨格に問題のある歯並びの乱れを改善するには、外科的矯正が必要です。

外科的矯正では、まず顎の骨を正しい位置に戻したときに上下の歯がきちんと噛むようにワイヤー矯正を行います。そのあと、外科的な手術を行い、骨格的な顎の歪みを修正します。外科的矯正では歯並びだけでなく、顔の骨格を大きく改善することが可能です。

まとめ

黒い机に置かれたマウスピースと専用のケース

今回は、マウスピース矯正で治療できない症例についてご説明しました。

マウスピース矯正は歯に加わる力が弱いため、歯を大きく動かすことができません。そのため、歯を大きく動かす必要がある重度の叢生などは治療することができません。また、骨格的な問題が原因の歯並びの乱れも、マウスピース矯正で改善することは難しいです。マウスピース矯正を希望する場合は、歯科医師と相談し、ご自身の歯並びをマウスピースで治療できるのか確認しましょう。

歯科矯正を検討されている方は、渋谷駅・表参道駅から徒歩5分の歯医者「渋谷青山通り歯科・矯正歯科」にお気軽にご相談ください。