こんにちは。渋谷駅・表参道駅から徒歩5分の歯医者「渋谷青山通り歯科・矯正歯科」です。
インビザライン治療では、まれに治療中に奥歯の噛み合わせが悪くなり、うまく噛めなくなることがあります。噛み合わせをきれいに整えるためにインビザライン治療を行っているのに、なぜこのようなことが起こるのでしょうか。
今回は、インビザラインで奥歯が噛み合わなくなる原因とその対処法について解説します。
インビザラインって何?
まず、インビザラインの基本情報について解説します。
インビザラインとは
インビザラインとは、従来のワイヤー矯正のような金具を使わず、取り外し可能な透明のマウスピース型の装置で歯並びを治す矯正治療です。
従来のワイヤー矯正は、治療効果が高い反面、歯にワイヤーを装着することによる見た目の悪さや、ブラッシングのしにくさ、そしてトラブルがあった際は歯科医院に行かなければならない不便さがネックでした。
一方、インビザライン矯正は非常にシンプルです。薄くて透明なマウスピースを1日20~22時間以上(食事や歯磨きのときは除く)使い続けることで歯が徐々に動き、正しい歯並びに矯正されます。インビザライン矯正で使用するマウスピースは透明なので、つけているところを人に見られても気づかれにくく、凹凸も少なくてブラッシングもしやすいのが魅力です。
インビザライン治療で奥歯が噛み合わなくなる原因
従来のワイヤー矯正にはなかったメリットが多くあるインビザライン矯正ですが、まれに奥歯がうまく噛み合わなくなることがあります。考えられる原因は、以下のとおりです。
インビザラインを正しく使えていない
1つ目は、インビザラインを正しく使えていないことです。
例えば、1日20~22時間以上定められた装着時間を守れないと、十分な効果が発揮できないばかりか、治療計画と異なった歯の移動につながる恐れがあります。また、食事や歯磨きといった決められたタイミング以外での取り外しが多くなるのも、インビザラインの変形につながるため、ひかえたほうがよいでしょう。
ほかにも、アライナーチューイー(インビザライン装着の際に正しい位置にはめ込むための器具)を使っていない場合やインビザラインを必要以上に噛み締めた場合、奥歯の噛み合わせ不良につながります。
インビザライン治療は、誰でも手軽に使える一方、患者さまご自身の自己管理が非常に大切です。インビザライン治療を行う際は、歯科医師から定められた使用方法やルールをきちんと守りましょう。
シミュレーションどおりに歯が動いていない
2つ目は、想定していたシミュレーションどおりに歯が動いていないことです。
上記で説明したように、インビザライン治療は定められたルールを守ることが大前提の治療法です。
しかし、どんなにルールを守り、かつ綿密な治療計画を立てても、歯の動き方を完璧に予測することは難しいのが実情です。そのため、歯が想定外の動きをしたことによってインビザラインと歯が合わなくなり、奥歯がうまく噛めなくなることがあります。
クロスバイトの改善時に発生する
3つ目は、クロスバイトの改善時に一時的に発生していることです。
クロスバイトとは、噛んだときに上下の歯の真ん中(正中)が横にずれてしまっている状態で、交叉咬合(こうさこうごう)ともよばれます。クロスバイトをマウスピースによって治す場合、まず合っていない前歯を正しい位置に移動させますが、この際、一時的に前歯が強くぶつかります。そして、前歯の衝突によって奥歯の上下にすき間ができ、うまく噛めない状態に陥るのです。
ただし、この現象はクロスバイト治療時には起こり得ることで、長くは続きません。前歯の噛み合わせが正しい位置に落ち着くと、奥歯も元の噛み合わせに戻ります。したがって、クロスバイト治療時に奥歯の噛み合わせ不良が発生した際は、しっかりインビザラインを使用し、この状態から早く抜け出すことが大切です。
インビザラインでは対応が難しい症例の可能性がある
4つ目は、治療しようとしている噛み合わせがインビザラインでは対応が難しい場合です。
インビザラインは、歯を包み込む形状のため、歯の縦幅や横幅が不十分である場合や生えている歯の高さが足りない場合に、歯がインビザラインを保持しづらくなって奥歯の噛み合わせに異変が起こることがあります。また、マウスピース矯正は、歯のねじれを解消することや歯の低さを解消することは苦手です。そのため、歯のねじれや歯の低さが奥歯で発生しているとインビザラインの効果が発揮できず、うまく噛めなくなることがあります。
奥歯が噛み合わない状態のままにするリスク
奥歯がしっかり噛み合わない状態を放置していると、歯だけでなく全身の健康にも悪影響をもたらします。全身の健康に対する悪影響は、以下のとおりです。
食べ物が噛みにくくなる
奥歯がうまく噛み合わないと、食べ物が噛みにくくなります。
通常、人間は前歯で噛み切り、その後奥歯ですりつぶして飲み込みやすくしています。
しかし、奥歯がうまく噛み合わないとすりつぶすことができないため、食べ物が大きい状態のまま飲み込むことになるのです。奥歯がうまく噛み合わない状態が長く続くと、消化不良を引き起こし、胃腸に負担がかかるリスクがあります。
顎関節症になる
奥歯の噛み合わせ不良は、顎関節症(がくかんせつしょう)につながるリスクがあります。
顎関節症とは、顎関節や咀嚼筋の痛み、口を開けようとしたときにあごの関節から音がする、うまく口を開けられないといった症状を引き起こす疾患です。奥歯が噛み合っていない状態で無理に噛もうとすると、あごに不自然な力が加わり、負担がかかります。結果的にあごの筋肉のバランスが崩れ、顎関節症になるリスクが高まるのです。
肩こりの原因となる
奥歯がうまく噛み合わないと、肩こりの原因となります。
肩こりは肩の筋肉が緊張することで発症しますが、肩や首はあごの筋肉と連動しています。したがって、奥歯が噛み合わなくなると、顎関節だけでなく周囲の筋肉のバランスが崩れて肩こりを引き起こす可能性があるのです。
インビザライン治療で奥歯が噛み合わなくなったら
インビザライン治療で奥歯が噛み合わなくなったときの対処法は、以下のとおりです。
インビザラインの使用法を見直す
まず、インビザラインの使用方法を見直しましょう。
繰り返しますが、インビザライン矯正のメリットは、ワイヤー矯正よりも手軽でストレスが少なく使用できるところです。
しかし、患者さまご自身が管理やメンテナンスをしっかり行って正しく使用しなければ、インビザラインの効果を発揮することはできません。そのため、インビザライン治療は歯科医師から定められた規定やルールをきちんと守ることが非常に重要です。
特に、以下の3つはインビザラインの効果に直結する項目ですので、より注意しましょう。
使用時間を正しく守る
インビザラインは、食事や歯磨きなどを除いた1日20~22時間以上装着する必要があります。
不必要に取り外しをしない
インビザラインは、食事や歯磨き以外の時間は装着し続ける必要があります。
アライナーチューイーを適切に利用する
インビザラインが浮きやすい部分は、重点的にアライナーチューイーを使用しましょう。
インビザラインを調整する
上記のような使用に関するルールを守っているにもかかわらず奥歯が噛み合わない場合は、インビザラインが歯に合っていない可能性があります。
インビザラインは理想の歯並びになるよう徐々に歯を動かして治療を行いますが、まれに、想定よりも動いてしまう、もしくは動かずに噛み合わせにトラブルが起こることがあります。このような場合はインビザラインの調整が必要なので、すみやかに歯科医院を受診しましょう。
顎間ゴムを使用する
インビザライン治療の補助として、顎間ゴムを使用するのも効果的です。
顎間ゴムとは、歯に取り付けた小さな突起状のボタンにゴムをかけることで歯が引っ張られ、噛み合わせ不良を改善する処置です。噛み合わせのバランスを整えるときに用いられ、奥歯が噛み合わなくなった場合も顎間ゴムを使用することがあります。インビザライン治療の補助的な処置として効果が期待できるので、使用については歯科医師にご相談ください。
部分的にワイヤー矯正をする
上記でご紹介した方法でも奥歯の噛み合わせ不良が改善しない場合は、奥歯に限ってワイヤー矯正装置をつけて部分的に矯正する方法があります。
すでに解説したように、インビザラインには苦手な噛み合わせがあり、特に歯茎の方向に沈んでしまった歯を正しい位置に戻すことはかなり難しいのが現状です。そのため、部分的にワイヤー装置を取り付け、挺出(ていしゅつ)という歯を引っ張り出す動きで奥歯が噛み合うように調整します。
まとめ
今回は、インビザライン治療で奥歯が噛み合わなくなった原因と対処法について解説しました。
インビザライン治療は、ワイヤー矯正にストレスを感じていた方にとっては画期的な矯正治療法です。しかも、手入れやメンテナンスが圧倒的に楽なので、よりメジャーな矯正方法となっていくでしょう。
しかし、まれに正しく使用しているにもかかわらず、奥歯がうまく噛み合わなくなることがあります。奥歯の噛み合わせに異変を感じた際は、歯科医師に相談し処置をしてもらいましょう。長期間の放置は体に悪影響があるだけでなく、治療計画の大幅な変更を余儀なくされる可能性があります。
本記事を読んで、インビザライン治療による奥歯の噛み合わせ不良に心当たりのある方は、なるべく早く歯科医院を受診してください。
インビザライン治療を検討されている方は、渋谷駅・表参道駅から徒歩5分の歯医者「渋谷青山通り歯科・矯正歯科」にお気軽にご相談ください。