こんにちは。渋谷駅・表参道駅から徒歩5分の歯医者「渋谷青山通り歯科・矯正歯科」です。
インビザライン矯正で痛みを感じることはあります。
しかし、ワイヤー矯正と比べると、軽い痛みの場合が多いです。歯科矯正に伴う痛みは「歯を動かす仕組み」を理解すると耐えられるでしょう。
今回は、インビザライン矯正で痛みが生じる原因や対処法を解説します。
目次
インビザライン矯正で歯が動く仕組み
インビザライン矯正で歯が動く仕組みは、歯根と骨の間に存在する歯根膜という薄い膜の性質が関係しています。
歯根膜には、厚みを一定に保とうとする性質があります。歯冠(歯の見えている部分)に力が加わると、歯根(歯の隠れている部分)が引っ張られ、歯根膜も伸縮するのです。
具体的には、引っ張られた側の歯根膜は伸び、押された側の歯根膜は縮みます。伸びた歯根膜は厚みが増す一方で、押し縮められた側の歯根膜は厚みが減ります。厚みが増した側の歯根膜はもとの状態に戻るために新しい骨を生成し、厚みが減った側の歯根膜はもとの状態に戻るために骨を溶かす細胞を活性化させるのです。
歯根膜が厚みを一定に保つ性質を利用して、骨の再生と破壊を繰り返すことで、歯を移動させます。
インビザライン矯正では、もとの歯並びと少しずらして作成したマウスピースを使用します。ずれによって歯に圧力がかかり、歯を希望の位置に動かします。1枚のマウスピースで動かせる距離は0.25mm程度です。マウスピースを1〜2週間ごとに新しいものに取り替えて、徐々に歯を動かしていきます。
インビザライン矯正は痛みはあるのか
インビザライン矯正の大きなメリットの一つは、痛みが少ない点です。もちろん痛みの感じ方には個人差がありますが、矯正によって眠れないほどの痛みが生じることはほとんどありません。
ただし、マウスピースを装着して歯を動かすため、違和感をおぼえることはあります。歯を移動させるためには周囲の骨を溶かす必要があり、骨を溶かす過程で炎症が起きるからです。
また、歯が押されることで歯と歯根をつなぐ歯根膜が圧迫されて血流障害が起きることで、鈍い痛みを感じることもあるでしょう。
インビザラインでは、1枚のマウスピースで最大0.25mm程度歯を動かします。一度に大きな矯正力をかけるワイヤー矯正と比べ、少しずつ歯に圧力をかけるインビザラインでは、歯根膜の圧迫や歯槽骨の溶解など、痛みの原因となる作用が少ないといえるでしょう。
ワイヤー矯正では歯の表面に複雑な装置が取り付けられ、粘膜が傷つき痛みを感じるリスクもあります。インビザライン矯正に使用するマウスピースは、薄く滑らかなので粘膜を傷つけることはほとんどありません。
痛みに対する耐性が低い方や矯正治療に抵抗感がある方でも、インビザライン矯正なら安心して始められるでしょう。
インビザライン矯正で痛みが出る原因
インビザライン矯正では、歯を圧迫して動かすため多少の痛みが生じます。
しかし、それ以外にもインビザライン矯正中に痛みを感じることがあります。痛みが出る原因は、以下のとおりです。
歯が圧迫されている
インビザライン矯正で使用するマウスピースは、段階的に歯に負荷をかけて歯を動かします。歯を移動させるほどの負荷なので、ワイヤー矯正ほどではなくても痛みを感じる方が多いです。
骨に埋まった歯に力を加えて動かすため、まったく痛みを感じないということは少ないでしょう。圧迫感による痛みが生じるのは自然な反応であり、治療が順調に進行している証拠ともいえます。
着脱時にアタッチメントが引っかかる
インビザライン矯正では、マウスピースを装着するだけでなく、歯にアタッチメントとよばれる白い小さなパーツを取り付けることがあります。アタッチメントがマウスピースの着脱時に引っ掛かることで、痛みを感じる場合があるでしょう。
アタッチメントは、マウスピースが歯に適切に力を加えるための重要な役割を果たします。アタッチメントを取り付ける場合、治療が完了するまで取り外すことはできません。
アタッチメントは、1mm程度のレジン素材で作られ、丸形・三角形・四角形があります。形状は、それぞれが要求する矯正力の強さによって選択します。丸形が最も負荷が小さく、三角形、四角形の順にサイズと矯正力が増します。
矯正装置が粘膜に当たっている
インビザライン矯正で使用するマウスピースは、アライン社というインビザライン開発会社で製造されます。マウスピースが十分に研磨されていない場合、粗い面や尖った部分が口内の粘膜に当たって傷や痛みを引き起こすことがあります。
アタッチメントが取り付けられている場合も、口内の粘膜に触れて傷つける可能性があるでしょう。
後戻りしている
インビザライン矯正では、マウスピースを1日20~22時間以上装着する必要があります。長時間マウスピースを装着しないと、歯がもとの位置に戻る後戻りという現象が起きる可能性があるのです。
矯正中の歯は不安定なため、マウスピースによる矯正力がなくなると、歯は自然にもとの位置に戻ろうとします。インビザライン矯正が終了したあとに必要となる、保定装置(リテーナー)の装着を怠った場合も、歯は後戻りします。
矯正治療が終了したからと保定装置の装着を軽視すると、歯がもとの位置に戻る可能性が高いです。後戻りし始めると、保定装置が装着できなくなり、無理に装着しようとすることで痛みを伴う場合があるでしょう。
硬いものを噛む
インビザライン矯正中は、歯を動かすことによって歯周組織が敏感になるため、硬い食べ物を噛む際に痛みを感じることがあります。新しいマウスピースを装着した直後の2〜3日間は、特に歯根膜が敏感になっています。硬い食べ物を噛むと歯根膜が刺激され、痛みを感じるでしょう。
硬い肉やおせんべいなど、噛む力が必要な食べ物を食べるときは注意が必要です。噛むときに歯に大きな圧力がかかり、痛みを引き起こす可能性があるからです。
抜歯した部分が痛む
インビザライン矯正で歯を抜くことは少ないですが、歯並びの乱れが重度な場合などは、抜歯を行って矯正を進めることもあります。抜歯は歯茎や周囲の組織にも影響を与えるため、痛みを伴うことが多いです。
抜歯した部分が治癒するまでの間、痛みや不快感があるでしょう。
インビザライン矯正中に痛みが出たときの対処法
インビザライン矯正中に痛みが出たときの対処法は、自宅でできるものと歯科医院で行うものがあります。痛みが続く、または強い痛みが出ている場合は、自己判断せず歯科医院に連絡しましょう。
1つ前のマウスピースに戻す
新しいマウスピースの交換時に強い痛みが続く場合、1つ前のマウスピースに戻すという対処法があります。1つ前のマウスピースに数日間戻し、再度新しいマウスピースに交換すると、痛みが和らいだケースも報告されています。
特に、マウスピースの装着時間が短い日があった場合は、歯が新しいマウスピースに適応できていない可能性があるでしょう。痛みを和らげるには、1つ前のマウスピースへ戻すことが有効です。
マウスピースの粗い部分や鋭利な部分を削る
研磨が不十分なマウスピースによって口内が刺激され続けると、一定の場所が繰り返し擦れることで痛みを引き起こし、口内炎につながるリスクがあるでしょう。
マウスピースの突出した部分や気になる部分がある場合には、紙やすりで磨くと表面が滑らかになります。
歯科用ワックスを使う
インビザライン矯正中、食事の際にアタッチメントが粘膜に当たって不快感や痛みを生じる場合、歯科用ワックスを利用することで軽減できます。
歯科用ワックスは粘土状の素材で、飲み込んでも身体に害はありません。ワックスは自分で簡単に着脱できます。食事の際などに使うことで、アタッチメントによる擦れなどから口内を保護することが可能です。
ただし、マウスピースを装着する際は、装着感を妨げないためにワックスを外してください。マウスピースをはめると、アタッチメントが覆われて突起部分の鋭さが軽減されるため、痛みや違和感が緩和されます。
硬い食べ物を避ける
インビザライン矯正中は歯が敏感になっているため、硬い食べ物は避けてやわらかいものを食べましょう。痛みが落ち着くまでは、食材をやわらかく煮込む、小さく切るなどを行うとよいでしょう。矯正治療中の食事としては、うどんや豆腐のようなやわらかい食べ物が適しています。
特に、新しいマウスピースに交換した直後は、痛みを感じやすいです。硬い食事を避けてやわらかい食材を選ぶことで、痛みを軽減できるでしょう。
鎮痛剤を服用する
インビザライン矯正中に強い痛みを感じることは少ないですが、万が一我慢できない痛みが発生した場合、鎮痛剤を服用してもよいでしょう。鎮痛剤は歯科医師から処方してもらうことも可能ですし、市販のものを利用することもできます。
ただし、市販の鎮痛剤のなかには、イブプロフェン系の薬物など、繰り返し服用することで歯の移動速度を遅らせる可能性があるものも存在します。市販の鎮痛剤を利用する際は、事前に担当の歯科医師に相談しましょう。
痛みを感じたときの対処法として鎮痛剤の服用は有効ですが、適切な使用法を理解し歯科医師の意見も参考にすることが大切です。
治療計画を変更する
インビザライン矯正中に強い痛みが持続する場合、治療計画に問題がある可能性があります。治療計画の変更が必要になることもあるでしょう。
インビザライン矯正について十分な知識と経験を持つ歯科医師のもとでは、治療計画に問題があることはほとんどありません。
しかし、経験が浅い歯科医師やインビザライン矯正を専門的に行っていない医師による矯正では、治療計画に問題が生じることも稀にあります。
まとめ
インビザライン矯正中に痛みを感じることはあります。
しかし、ワイヤー矯正と異なり、インビザライン矯正はゆっくりと歯を動かしていくため、痛みの程度は軽いものが多いです。歯が動くときの痛みだけでなく、矯正装置が粘膜に当たって痛みが生じるケースや食事によって歯根膜が刺激されて痛みが生じるケースなどもあります。
歯が動くことによる痛みは、マウスピース交換後2~3日がピークで、徐々に落ち着きます。痛みが長引く場合や我慢できないほどの痛みがある場合は、ほかの原因が考えられるため早めに歯科医院に連絡しましょう。
インビザライン矯正を検討されている方は、渋谷駅・表参道駅から徒歩5分の歯医者「渋谷青山通り歯科・矯正歯科」にお気軽にご相談ください。